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自然の登山道は本来「整備不良」

雑誌 岳人 2004年12月号 「山の法律学」

登山道の整備不良による事故例
安全のための環境整備は行政の義務
弁護士 溝手康史様

「日本では法律が登山や登山道に関して何も規定していないので、これらの法律的な扱いが極めて曖昧なのが実情です。」

「管理責任が曖昧な現状では、「うかつに整備すれば管理責任が生ずるので、出来るだけ関わらないほうがよい」という傾向が行政の一部にありますが、-------」

「自然のままでは「危ない」から整備するはずなのに、整備すればかえって安易な気持ちで危険な場所に入る人が増えて危険性が増し、他方で、人為的な整備には必ずミスや整備不良が伴うので(これは確率の問題です)、そのためにかえって「危ない」というジレンマが生じます。」

「もともと自然の中では自己責任が原則なのですが、自然を管理することは登山の自然性を阻害すると同時に、法的な管理責任を生じさせます。」

「登山の自然性を守るためには、自然状態に近いルートを可能な限り残すことが必要ではないかと思います。」 

弁護士 溝手康史様
岳人 2004年12月号 「山の法律学」

★ボランティアによる整備

山歩きの最中 登山道を整備している 方々と出会うことがあります。
登山道整備を 所定の管理者から 委託されて行っている 場合もありますが、私などのような 週末の登山者が出会う場合 多くの場合 ボランティアで 作業をしている方々に出会うことの方が多いようです。

山小屋の方が行うこともありますが、登山団体が行う場合や、地元の有志の方々が、全くの労力奉仕で行うのに 出会うことが多いのです。

善意で行っているのでしょうが、法律的には 上記のように 登山道整備が法律的に 極めて 曖昧な立場で行うことなのでして 整備することで 逆に いらぬ管理責任が生じてしまう場合があり 注意しなくてはいけないのです。

親切でやったことが 管理責任を問われたりして 仇になる ことがあるのです。
★登山は本来危険なもの

そもそも 登山者が少なかった頃には 「登山は本来 危険なものである」とは 事前に十分わかった上で それなりの心積もり準備と覚悟で 登っていました。危険があるから 面白くなるのです。
何ら危険のないところでは 面白味が少ないといったことがあります。

時代が変わっても 今でも これは基本的には 変わっていません。
 山域でもよりますが 今でも 人の少ない 山域では当然 この原則が守られています。

ところが 昨今のように中高年が主体で 著名山ブームなどで 急速に登山者が多くなったりすると、色々な問題が出てきました。
★登山道の整備状況
登山者が多くなって 様々なレヴェルの登山者が 押し掛けるようになると 歩きにくいとか 分かりにくいとか はてまた 道に迷ったとか はたまた 道迷いでSOSの遭難信号を出す、登山者が出てきたりすると 「道の整備状況が悪い」などとクレームが付けられたりことになることがあります。

もともと 静かな 山域が 時代とともに 交通機関などが発達して 行きやすくなったりして 次第に賑わうのは よくあることで それ自体は 決して 悪いことではありませんが、行きやすいからといっても 誰もが 大都市圏近郊の 有名な山の立派な遊歩道のような登山道を整備レベルの標準として 考えると 大きな間違いになります。

交通手段の発達による行きやすさと 山域の 自然の残り具合と 登山道の整備状況の関係には注意が必要です。

たとえ交通手段が発達しても 登山者が少ない 自然の多く残った地域では 山域全体の登山道の整備レベルは 遙かに自然に近いものであり、本来の 自然の登山道が多く残っている 状態なのです。

ですから 道の整備状況が悪いなどというのは 基準が違うからだけのことで その山域に いけば その山域のレベルの 登山道整備状況と考えなくてはなりません。その山域の 登山道整備状況が分かっていれば 人が増えても問題はないのです。
★オーバーユース対策
ところが 現実問題として 交通網が発達したせいか 遠方からの登山者が 特定の著名山に 急速に多くなったりしているのは 事実です。 昨今の 著名山ブームは 全国から大勢の登山者を著名山の特定ルートに集中させているのです。
オーバーユースの状態で こうしたところには オーバーユース対策として登山道整備をしなくてはいけない状態になっているのが現状です。

オーバーユース対策で 登山道を整備して これ以上の踏み荒らしによる 荒れ地化防止対策を しなくてはいけないのは ごく一部の 著名山の特定コースだけのことでしょう。
★自然豊かな 本来の自然登山道
しかし それ以外の 自然豊かな山域の 自然の登山道のところは あえて 登山道は未整備で残して 豊かな自然を じっくりと 登山者の自己責任で味わうように 自然鑑賞ルートとして 残していくことが 大切だと思います。

自然本来のところに 無用な登山道整備を することはありません。
登れる人は 自己責任で 登ります。

今後とも 豊かな自然を 後世に残していくことの方が 大切だと思います。
 



オーバーユース対策の木道

★登山事故についてのHP
登山事故の法的責任について考えるページ
http://homepage3.nifty.com/tozanzikosekinin/

★くじゅう連山三俣山
「2004年7月29日にテレビのニュースで、大分県くじゅう連山三俣山で 私製標識のつけられた「私製登山道」(舞鶴尾根新道)が危険で閉鎖されるという報道がありました。」 標識変遷

「私製登山道の舞鶴尾根新道」は 本来は一般ルートの登山ルートではなく 危険箇所が多いのですが、ネット上などで 公開され たとえ危険箇所が多くても、 誰でも登れる一般道と 間違われて 誤って入ったりして、 怪我をして救助を求める登山者が多いことなどで遭難が多発しているらしいので、大分県警が閉鎖するという報道内容でありました。

もともと バリエーションルートなど 一般路でない道を 愛好する一部の登山者の山道だったのが、そのうちに口コミなどで次第に拡がっていって 誰でも登れるような、誤った情報に拡がって、安易に大勢の人が入るようになっていくのはよくあることです。そうしている内に 一部の方が 過剰な 私製標識の類など多数付けてたり 樹木の刈り払いなどするようになっても、やはり危険なルートの本質は、多少の標識類でカバーできるものでないようです。舞鶴尾根新道には へんなハシゴなど付いていたようだが、これは私製登山道にしては、少し逸脱した、過剰な行為とされてしまい、「無許可でドウダンツツジなどの植物を伐採して勝手に作ったルート」と自然破壊を指摘されてしまうことになりました。

本来の自然に 手を加えることが 実際 良くないことでして、たとえ 一般道であっても 赤テープの乱発なども この話と共通することと思います。

事故でもあれば 登山道の 管理責任など 問われる時代となっていることを 考えれば、 たとえ善意でも それなりの手続きを経ないで 闇雲に付けられる私製登山道など、今後 大いに反省すべき時代となっているのでは、ないでしょうか。 

★『登山の法律学』溝手康史著
本来 山は 清らかで、心やすまる 穏やかなところであるはずで、下界のゴ
タゴタ事などを 決して山中に持ち込んではいけないと思うのだが、昨今 押
しかける中高年登山者の人波をもろにかぶれば、さすがに清らかな聖地のよう
な場所でさえも ドロドロした欲望の蠢く人間社会の喧噪な場所となってしま
う。
  
かねて 月刊誌「岳人」に連載中から なるほど 山を取り巻く 時代の流れ
かと とても興味深く 思っていたが、このたび 連載記事が纏められて出版
された。



「登山道を整備すればするほど安全性は高まりますが、登山は本来の姿を失っ
ていきます。もともと自然の中では自己責任が原則ですが、自然を管理するこ
とは登山の自然性を阻害すると同時に、法的な管理責任を生じさせます。
いままでにすでに整備した登山道については現状の管理を継続することになり
ますが、登山の自然性を守るためには、自然状態に近いルートを可能なかぎり
残すことが重要だと思います」
『登山の法律学』溝手康史著 東京新聞出版局 2007年7月9日初版
201ページから引用

自然の登山道は本来「整備不良」

平成16年11月21日 第一版
平成16年11月23日 改訂増補
平成19年9月19日 更新
http://www.lnt.org/

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